都電でフグ

都電で、またインターナショナルな母子と隣り合って座ってしまった。


「座れてラッキーね」なんて、母親の方は英語でしゃべっている。子供が日本語で話すと「Why don't you speak English? 」と言っている。


いや、別にいいのであるよ、都電で英語で話しても。ノー・プロブレムですよ。店主も慣れたつもりだ。


ただ、その母親は、なんかテンションが高くて、発声が強く、遠くからでも、どんなにささやき声でもはっきり聞こえてしまうのである。店主はまるで自分が叱られているような気分になるんである。


ある停車場で扉が開いて、外の空気が流れ込んできたとき、子供が叫んだ。「ママ、今、フグの匂いがしたよ!!」。


たしかに、鍋の湯気のような、モワッとした空気を店主も感じた。しかし、それをフグの匂いとは……。この家族、昨夜はふぐちりだったのか。


母親は「I don't know smell of FUGU.」なんて、とぼけていたが。