舞踏家・高井富子さん逝去

震災以降、取り立てて書く気もおこらず(「がんばれ、東北」などと書きたくないし)、ツブヤかないまま日常に忙殺され過ごしておりました。


そんな中、5月28日に舞踏家の高井富子さんが亡くなったとの知らせが。


高井富子さんは、1931年生まれの80歳。自宅で死後何日かして発見されたそうだ。生涯独身ゆえの孤独死、か。


高井さんご自身の経歴は、興味のある方は、ほかで調べていただくとして、ここでは店主との関係を少々ご披露させていただきます。


踊る古本屋・町屋堂店主は、1986年と1989年の高井さんの公演に出演している。


特に89年の公演では、稽古のため、相模原のご自宅に足繁く通わせていただき、やんちゃ盛りの店主にも臆することなく、踊りだけでなくいろいろ面倒を見ていただいた。


ほかにも、ことあるごとに大谷石採石場跡地・上野の都美術館など、公演の場をいろいろ紹介していただいた。


やんちゃ盛り(しつこい)ゆえ、高井さんにはご迷惑をかけたかもしれない。


その後、店主子連れとなり生活に追われ、もう10年ぐらいお会いしていなかった。


7月23日に故・大野一雄氏のご子息の大野慶人氏と、故・土方巽氏のご令嬢の元藤がら氏が発起人となり、「高井富子さんを送る会」が旧ご自宅で行われたので、店主もほぼ20年ぶりに相模原に出かけてみた。


しかし、稽古場のあるご自宅とはいえ、祭壇を組み、受付を作れば、20人も入ればいっぱい。遅れて行った店主には、舞踏界の先哲群がるなか、足を踏み入れる余地もなく、外で同じようにヤブ蚊に苛まれながら立っている、やはり久しぶりにお目にかかる知己と立ち話をし、いそいそと帰ってきたのだった。


送る会でつぶやけなかった高井さんの思い出をここでツブヤく次第である。合掌。