孔子は説く
雨の朝の都電は、とても混んでいる。体を動かすこともままならず、乗客は目的地までじっと耐えている。
そこに4歳ぐらいの子供とその母が乗り込んできた。静まり返った車内で、子供が回らぬ口で「コケツニイラズンバコジヲエズ」とのたまった。
何の呪文だ? 振り返ることができないので、聞き耳を立てる。
次のお言葉は「ヒャクブンハイッケンニシカズ」。
ああああ、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」「百聞は一見にしかず」。さらに「これは『火に油を注ぐ』だね」。
どうやら母子で『声に出して読みたい○○』系の本を音読しているようなのだ。
朝っぱらから4歳児に説教を聞かされている気分。
店主はすぐに下車したので、助かったが。あのままやられていたら。「ロンゴヨミノロンゴシラズ!」と叫んでいただろう。